八ヶ岳アイスクライミング個人山行

周東です。

2021年最初の山行は八ヶ岳に行ってきました。メンバーは4年周東、2年佐々木の2名です。裏同心ルンゼ〜小同心クラック継続、峰ノ松目沢の2ルートを登攀してきました。

1月4日(月)

当日に茅野駅集合予定だったが、佐々木がビーコンを忘れてしまった為1度家に帰った。自分は先に入山して、美濃戸口近くの河原奥の氷瀑でアックスの打ち込みやアバラコフの練習をやる事にした。

12時過ぎに入山してきた佐々木と合流し、赤岳鉱泉へ向かう。途中、6日に登る峰ノ松目沢(南東沢)の取り付きを確認した。↑登山道から峰ノ松目沢がよく見えた。

15時前に赤岳鉱泉に到着。横岳西壁は真っ白に雪を纏って難しそうだった。

テントを設営して一休みした後、翌日行く裏同心ルンゼの偵察へ向かった。裏同心ルンゼは硫黄岳へ向かう登山道に出合う2本目の沢でわかりやすかった。沢をF1まで詰めた後、テントへ戻る。

1月5日(火)

6時前にテントを出て、30分弱で裏同心ルンゼF1へ到着。まだ薄暗い。登攀準備を済ませ、明るくなってきた6時半過ぎ、登攀を開始。F1は簡単だが、今シーズン初アイスなのでしっかり確保する。左岸の立木で佐々木を確保。少し沢を詰めると、3段に綺麗に氷結したF2。簡単なので支点は少な目で登り、右岸の残地支点で確保。F3は少し傾斜があるが、短い。左岸にデカい岩があったのでスリングを巻きつけて確保。↑F3を登る周東。

F3からは雪で埋まっている為、ロープをまとめてコンテで佐々木を先頭にF5まで。慣れないコンテをしたのでロープが絡まり、少々タイムロス。↑大同心に向かって登る佐々木。

裏同心ルンゼで1番傾斜のあるF5を登る。F5から先は、右のガリーが氷化していて面白そうなので、そのままロープをそちらに伸ばす。↑右のガリーを登った。

アイス部分を登り切り、抜け口にバイルを打ったら氷が割れて左半身にモロに水を浴びた。凄い焦った。ガリーを抜けたところでロープが残り数mで確保点に困る。枝先だけ出ていた灌木を掘り出して、なんとか確保。佐々木はF5でやや苦戦しつつもしっかり登ってきてくれた。さらに1ピッチ伸ばして、ロープをしまう。裏同心ルンゼは、各滝が独立しているのでアイスのマルチに慣れていなくても登りやすいし、なりより大同心を仰見ながら登るのは気持ちがいい。このまま大同心に継続出来ればそれが何よりだが、今回は難易度を落として小同心へ。

大同心の基部から小同心へトラバースし、小同心の基部でやっと休憩。小同心取り付き着のリミットを11時にしていたが、10時前に着くことが出来た。小同心は雪がしっかり付いていて難しそうだ。

10時15分、1ピッチ目に取り付く。フェイスを左上し、2つ目のハンガーボルトのビレイ点まで30m程登る。下部15mくらいは全く残置を見つけられず、岩にスリングを巻き付けてランナーを2箇所とった。ハンガーボルトを見た時の安心感と言ったらなかった。↑1ピッチ目終了点にて引き上げ準備をする周東。

2ピッチ目も暫く残置もスリングを巻けそうな岩も見つけられず多少ランナウト。なんとか岩にスリングを巻いて効かせた。手足を突っ張ってチムニーを登り、チムニーを抜けた先の小テラスのハンガーボルトで確保。除雪した雪が顔に張り付き、そこにチムニーの下から猛烈に風が吹き上げてきて、顔面がパリパリになった。でも冬季登攀っぽくてこれはこれで良いと思った。

3ピッチ目は左の狭いチムニーを登ってすぐリッジに出て、小同心の頭まで。強風でコールが聞こえず、笛でもダメだったのであらかじめ決めていたようにロープを引っ張って合図した。取り付きから2時間で登攀終了。一旦ロープをしまい、横岳へリッジを詰める。折角なので横岳へロープを出して直登し、13時、横岳の山頂へ着いた。↑完登!

下山も楽では無く、硫黄岳まではずっと強風だった。特に硫黄岳山荘までの下りは今まで経験したことのないくらいの強風だった。15時半、赤岳鉱泉へ戻った。

1月6日(水)

6時、BC発。15分程下った地点から、峰ノ松目沢(南東沢)へ入り、更に15分程でF1に到着。丁度明るくなってきて良いタイミングだ。

7時登攀開始。F1を登って左岸の立木で確保。更に60mくらい進むとF2。簡単そうな左のラインから登ったが上部は氷が薄く、氷の下を水が流れる音が聞こえた。左岸の立木で確保。F2から先は小滝や滑滝が続く。アンザイレンしたまま自分が先に登り、佐々木は念のため上から確保して登った。少し大きめの連続する滝を登ると、沢が二股に分かれた。左股に氷柱が見えた。あれが核心のF8だろう。

左股に入ってすぐの4〜5mの滝はF8の予行練習として難しそうなラインから登った。短いのにパンプしてしまった。楽しみにしていたF8は、氷結が甘く氷柱が下まで届いている箇所は少なかった。更に日が当たって水が滴っている。↑F8。

登攀は無理だろうと諦めかけたが、よくよく氷柱を観察すると左側面からなら登れないことも無い様に思えた。↑登攀ラインを探る周東。

細い氷柱の左側面から取り付いた。足を氷柱に上げる前に2本スクリューを連続して打ち、意を決して登り出す。垂直の氷柱を2m程登った所で3本目のスクリューを打ち、更に登って垂直の氷柱の抜け口にバイルを打ち込む。荷重をかけて効きを確認した数秒後、氷に亀裂が走り、氷の塊ごとバイルが外れた。やばいと思った時には落ちていた。幸いスクリューがしっかり効いたのと、佐々木が上手くビレイしてくれたので全く怪我は無かった。

右岸から巻くことにした。30m程凍った草付きを登って佐々木を確保し、更に少し登ってトラバースするとF8の上の滝の上部に出た。この草付きとトラバースも緊張感があって結構面白かった。↑慎重にトラバースする佐々木。

『岳人799号』にF8を超えてからは上部の岩場をめざしという記述があった事から、目立つ岩壁を目指して3ピッチ、ロープを伸ばした。しかし、どうやら一つ隣の沢を詰めてしまったようだ。↑1つ左の沢に入ってしまった。

岩壁を右に抜けると、開けた沢に出て、これが峰ノ松目沢に違いなかった。暫く沢を詰めると、岩壁があり、すぐに稜線に出た。取り付きから約4時間で登攀終了。

ここからは赤岩ノ頭まで登って赤岳鉱泉に下るだけだが、トレースが無くラッセルがきつかった。赤岩ノ頭まで1時間以上かかった。↑キツい!

13時過ぎに赤岳鉱泉に到着。テントを撤収して、美濃戸口へ下山した。

今年度初の冬季登攀だったが、以前からやりたかったアイス〜冬壁の継続と峰ノ松目沢の登攀をする事が出来た。充実の山行で大満足だが、峰ノ松目沢F8を登れなかったのが忘れられない。コンディションは良くなかったが、自分が強ければ絶対登れていた。悔しいが、今の自分の力量を見誤っていた。今後、氷のコンディションの見極めと自分の力量をしっかり測れるようにしたい。

文責:周東

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